No. 23 岩崎 一彦(情報通信システム)
望楼の春外部リンク
著者:坂井修一 出版社:角川書店 出版年:2009 ISBN:9784046521675
先生からの一言
著者の坂井修一さんは東京大学大学院情報理工学系研究科の教授であり,専門分野は計算機アーキテクチャです。情報処理学会の理事を務める等、情報工学分野で我国を代表する著名な研究者として知られています。
一方で、坂井先生は歌人としても活躍中です。多忙な研究生活の合間を縫って、短歌の創作活動に取り組んでいます。もしかしたら、歌を詠む傍ら新型コンピュータを研究しているのかもしれません。いずれにしても作品は高い評価を受け、歌集”望楼の春”は2010年に第44回迢空(ちょうくう)賞を受賞しました。権威ある文学賞の一つと言われています。
歌集を読んでまず驚くことは語彙の豊富さです。膨大な文学作品をインプットして、咀嚼して、自分の言葉としています。また、変体かなや旧かなづかいを用いて、スッと読めない独特のリズム感を作っています。さらに何よりも、”エッ、そんなことみんな思っているだけで言わないのに、ホントに言っていいの”というためらいを圧倒する心意気です。
・われを待つ若者よああはしきやし天真爛漫天真ランラン(呑舟)
・ぷつすんと消えてうごかぬパソコンよときどきわれもやつてみたいぞ(お堀)
・目覚めても寝ても死んでもキーたたく エクセル,ワード,エクセル,ワード (達磨)
掲載日:2012/01/11