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平成27年度第1回学生選書ツアーを実施しました。

掲載日:2015年7月15日
26-2学生選書ツアー

爽やかな初夏の陽気の中、平成27年度第1回学生選書ツアーを開催しました。図書館本館の学生選書ツアーは、「本を選ぶ(選書)」「本を紹介する(POP作成)」「本を語る(座談会)」という、本にまつわる3つの要素を体験してもらう企画です。

今回は本の街神保町に赴き、学部3年生1名、1年生3名、修士前期2年生2名、1年生1名、司書2名の総勢9名で、計223冊もの本を選んできました。

               
  • 日時:平成27年6月13日(土) 11:00-16:30
  • 会場:三省堂書店神保町本店

和気藹々とした雰囲気のもと、終始にぎやかで刺激的な一日となりました。

皆さんにも会場の熱い空気が伝わることを願って、その様子をレポートします!

第1部 売り場での本選び

神保町に来ただけで、本好きはテンションが上がる!と参加者の皆さん。その神保町の中でも、三省堂書店は指折りの大型書店です。地上1階から6階の売り場から、店内の検索機を上手に使ってお目当ての本を探します。売り場を回るうちに、新たな本との出会いに喜ぶ場面も。

これぞと言う本を見つけたら、手のひらサイズのバーコードリーダーで、本に印刷されたバーコードをピッと読み込みます。手にとってじっくりページを繰る人、ピンときた本のバーコードを次々読み込んでいく人、検索機から出したレシートを並べて吟味する人・・・それぞれのスタイルで選んでいきます。

そうこうしているうちに、あっという間に2時間弱の選書時間は終了。次はPOP作成です。

第2部 POP作成と座談会

さて、お昼休憩をはさんで、今度はPOPの作成です。

小さなスペースに印象的なコメントを配置するのは、思った以上に難しい!三省堂書店のPOP王と呼ばれる社員さんが作った、すばらしい作品の数々をたくさん見せていただき、イメージを膨らませます。デザインを考え、言葉を紡いで、イラストを添えて・・・

参加者の皆さんは一生懸命手を動かしながら、さまざまな話題で盛り上がり、POPが出来上がる頃にはすっかり打ち解けていました。

さあ、場が温まったところで座談会に突入です!担当の想像を超えた盛り上がりとなった様子はレポートをご覧ください。

過去から未来、日本と世界はたまた宇宙へと縦横無尽に議論が展開!?座談会のレポートをどうぞ!

座談会 レポート

参加者の皆さん

合志さん(生命科学専攻 院前期2年)

日高さん(生命科学コース 学部1年)

窪田さん(地理環境科学域 院前期2年)

嶋崎さん(物理学コース 学部3年)

外間さん(航空宇宙システム工学域 院前期1年)

福島さん(情報通信システムコース 学部1年)

中澤さん(情報通信システムコース 学部1年)

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司書 選書ツアーでは、参加してくださる方のカラーが選んだ図書のラインナップにはっきり出ていて、毎回面白いなと感じています。今日はぜひ、選んだ動機などを交えて、皆さんと本にまつわるエトセトラをお聞かせください。

合志さん 今回私は、外国人とコミュニケーションするために、「知って欲しい日本、伝えたい日本」 をテーマに選びました。最近、研究室では留学生が増えてきて、こういった本の必要性を感じていたんですが、図書館にあるのは古いものが多かったので、自分で選びたくて参加しました。選ぶ上では、なるべく対訳があって、留学生と一緒に読めて自分も勉強できるものを選んだつもりです。

あとは、『日本の絶景パレット100』のような、四季折々の綺麗な日本を見てもらえるようなものも入れてみました。

司書 研究室に外国の方が多いということですが、どこかに案内する機会もあるんですか?

合志さん 実は明日鎌倉に行くんですよ。せっかく一緒に行くんだから、無言で見て回るだけじゃつまらないですよね。今まで何人もの外国人のメンバーから質問された内容にも答えられるよう、話題を増やしたいと思って。

キャンパス内でも留学生が増えているから、同じようなことを感じている人は多いだろうなと思います。そういう場面で、食べ物や、花、神社仏閣など、日本を切り取ったような対訳本 は役に立つと思って選びました。

司書 東京オリンピックに向けて、そういう日本を案内するボランティアをやりたい、と思っている人も増えているでしょうしね。

合志さん 館内にも、語学コーナーにこういった本が何冊かありましたね。日本に外国人を迎える気持ちが高まっているんだろうなと感じて、通訳ガイドの本も選んでみました。

合志さんの選書本リストはこちら (Adobe PDF227KB)

日高さん 僕のコンセプトは過去と未来です。まず、過去の中からは、第一次世界大戦をチョイスしました。ただの戦史資料ではなく、その前後50年くらいの中でどういう世界情勢が重なって戦争が起きて、戦争の結果何がどうなったのかが書かれた本を選びました。

未来をテーマにしたものとしては、宇宙生物学の本。宇宙生物学は、50年くらいしか経っていない新しい学問のジャンルです。地球外には生命がいるのか、逆に地球の生命が宇宙に行って生きることができるのかということを考える分野で、天文学や生理学だけでなく、進化とか体の構造だとか、宇宙の真空無重力空間だから物理とか、めちゃくちゃ広い分野がかかわっているんです。まだあまり研究が進んでいない分野なんですが、入門書があったらいいなと思ってチョイスしました。

あとはこれ、ちょっと趣味が入ってるけど、19世紀の産業革命のあたりの技術が大好きなんで、スチームパンクの本や写真集を選びました。

司書 第一次世界大戦のあたりに興味が惹かれるのは、19世紀の時代背景に興味がある、というところもあるんですか?

日高さん 産業革命の頃って、工業化によってガーッと近代化が進んでいく一方で、昔の貴族や民族の価値観があたりまえにある時代ですよね。現代にも、第二次世界大戦のあたりにもない、新しい技術と昔ながらの価値観が交じり合っている18,19世紀の感じが好きなんです。で、それらを一度ぶっ壊したのが第一次世界大戦で、そのゆがみに引きずられておこったのが第2次世界大戦で。

僕は、人の価値観を大きく変質させる出来事にすごく興味があるんですが、それが産業革命と第一次世界大戦だな、と思っています。なので、戦争について知りたいというよりも、何でそこで価値観の変質が起こったのか、という視点から戦争を見ていきたいという感じです。

(一同 深く納得)

司書 今まで宇宙に関する本は選書ツアーでもよく選ばれてきましたが、宇宙と生物についての本は初めてですよ。今までにない角度から、宇宙について選んでくれましたね。

日高さん これからの未来で、人間の価値観が一番変わるのって、やっぱり宇宙に出て行ったときなのかなって思って。

例えば、無重力空間では子供ができないという話があります。精子が泳いでいくには、地球の重力も計算に入れてプログラムされているらしいんですけど、無重力ではそれがないから受精できないとか。宇宙で生活するとなると、骨は少なくなっていくし、筋肉も減る。そんな風に体がどんどん変化していけば、心もそれに伴って変化するはずじゃないですか。もし宇宙に出て行くことができるなら、人間の価値観は今までとは比べ物にならないくらい、バッカーンと大きく変わると思うんですよ。その下地として、宇宙で生物がどんな暮らしを送ることができるのか、ということを考えるのが大事だと思って、選んでみました。

司書 それ、そのままコンセプトに流用できそうですね。

日高さん 僕のコンセプト、価値観の変質、ですかね(笑)。

日高さんの選書リストはこちら (Adobe PDF220KB)

窪田さん 私は、今の第一次世界大戦の話とちょっとつながるところもありますが、今回一番のコンセプトとして戦争を時代背景にした映画の原作を原書と訳本の両方でみなさんに読んでもらいたいなと思っていくつか選びました。

普段、好きな小説はよく読んでいる人でも、興味のない分野の本って案外手が伸びないじゃないですか。映画になっているものだと、取っ掛かりとしてそんなに難しくないのかな、と思って。ちなみに『イミテーションゲーム』はつい最近上映されましたよね。『サラの鍵』は上映館が少なかったのですが、見た方いますか?

外間さん ああ、『エニグマ』は、『イミテーションゲーム』の原作ですね。

窪田さん そう、どちらも第二次世界大戦中のヨーロッパの史実をもとにした作品です。日本のことも含めて、われわれは戦争について歴史の授業や教科書で、事実としては知っているけど、実際そこに住んでいた人の事や、何が起こったのかとかの詳細までは案外知らないですよね。映画って、うまいことそういう要素をピックアップしてぎゅっと濃縮して伝えてくれるので、初めてそのテーマに触れる人でも、普段あまり意識しないところに足を踏み入れる入り口として、いいんじゃないかなと思って選びました。

その他は、「みんなの結構身近にある事柄」についての本、ですかね。例えば、最近は自然災害が多いので、その仕組みはどうなっているのかといった番組が増えていますよね。その他、さっきの雑談でもイスラム教やユダヤ教の事とか話題になりましたが、普段メディアや日常の会話で受け取る機会が多い言葉なんだけれど、実際それがどういうことなのか本当のところを知らない事ってかなりあるんですよね。自分できっちり確かめないまま、ああだこうだと議論していることがすごく多い。実はそのような状態で議論が白熱する状態って、すごく危ない傾向があると思うんです。人間が一番恐怖を感じるのって、知らない、という事らしいんですよ。知らないことに対して、怖さが先に立ってしまって、その結果攻撃的になったり、逆に自分の内に閉じこもってしまったり。

そういう人間としての仕組みがあるので、まず何より大切なのは議論されていることが本当に何なのかを知ることだと思って。まぁ、本当が何かと言うこともあるんですけど、少なくとも自分で情報を得て、自分にとってそのことが何なのかを決めていくことが大事だと思います。

ここで選んだのは、気象の話や、ユダヤ人の話、セクシャルマイノリティの話などいろいろです。言葉としてはよく聞くけれど、実際それって何なんだろう、と思った時に、忙しい日常の中でふと立ち止まって手にとれるような、そういう本を提供できればいいなと思って。各分野のよく聞く言葉の入門書のようなものを選んでみました。

合志さん 現状、何が起こっているのかを知ろうとする姿勢は大事ですよね。知らないままでも議論はできるかもしれないけど、変な方向へ進んでしまうし、結末はよくないですよね。

司書 そういう状態って人の思考を簡単に変換させることができる状況でもありますよね。政治的な話もさっき出ていましたが、そういうあいまいな状況からは距離を置いて、ちゃんと自分で考える、そのためにちゃんと知ろうということですね。今の話を聞いて、窪田さんさんのラインナップの意味がよくわかりました。

窪田さんの選書リストはこちら (Adobe PDF227KB)

嶋崎さん 私の選書コンセプトは、「ほぼ役にたちそうなこと」です。今学部3年なんですが、あと1年あまりでこの先の選択に結論を出さなければならない状況です。就職するか院に進むかとか、将来への選択を目前にして、そんな状況におののいている大学生が選ぶのはどんな本か、といった感じですね。

たとえば、『働くためのコミュニケーション力』『おとなの小論文教室。』『たった一日で即戦力になるExcelの教科書』などなど、タイトルからしてとにかく役に立ちそうだ、と思うものをほぼ、集めました。

あと、『銀河ヒッチハイク・ガイド』というのはSFの名作として有名なんですけど、知ってますか?この本は、ステラモーターズのCEOと話す、なんて機会があるなら読んでおいたら楽しいんじゃないでしょうか(笑)。

あとは、選書ツアーでは自分の専門分野のものを選ぶ人が意外と少ないと聞いていたので、「ファインマン流物理」等を選びました。

就職活動に必要な、考えること、表現することを中心に、物理と自分の好きなものを選んだ次第です。

司書 就活がかなり意識を占めているって感じでしょうか。

合志さん 就活を最近終えた立場でひとつ言えることは、考え方とか表現の仕方も含めて、会社は選んだほうがよいっていう結論になるんじゃないかなと私は思うんですよね。

嶋崎さん 考え方、ですか?

合志さん うん。福利厚生とか、こういう仕事をやりたいってことは、会社を選ぶ導入部分なんだけど、社員さんの雰囲気やしゃべってみた感じがまず大事だなと思って。これから自分が生きていく場所として、全体的にどれくらいその会社と自分が合致しているか、を見るべきだから。自分自身が何をしたいのか、どういうところに行きたいのか、自分を見つけるという目も就活ではすごく鍛えられるんじゃないかな。

一同 おお~すばらしい!

窪田さん 実際、面接官とか、人事の人はそういうところを重視していると思います。結局そこで一緒に働く仲間を探しているわけだし。どんなに優秀でも合わない人たちっていうのは採用されないんじゃないかな。

中澤さん 一致してるっていう言葉が出たんですけど、日本の企業って同じ考えの人が集まることによって多様性を失っているというか、やれることが狭まっている事がないですかね。

逆に人材に多様性のある企業っていろんなことができてると思うんですよね。そういう会社がグローバルで活躍できてるんじゃないかな。日本は単一民族だし、国民性の影響もあって、日本の企業は可能性を狭めているんじゃないかって感じることがあるんですよね。

合志さん そうだね。日本の多くの企業の課題として、自由な考え方の人を会社がどう統制できるかってことかな。

中澤さん 僕は統制されたくないほうなんですよね(笑)。

窪田さん それを本人が気づかないように上手く使ってくれる上司もいるんだよ(笑)。

外間さん ある程度多様があったほうが、あらゆることにとってもいいはずですよね。

中澤さん 多様であっても衝突しないっていう環境を作れるのが理想ですよね。

日高さん あるいは、衝突することによって新しいものや利益が生まれるとか。プラスマイナスでいうところのプラスになればいいんじゃないかな。

嶋崎さん すばらしい組織論が展開されているところで、次へどうぞ(笑)。

司書 就活のヒントになりました?

嶋崎さん 本当に就活を終えられた方の言葉って言うのは、一番心強いですよ。

司書 就活への素晴らしいアドバイスも飛び出すという、思いもよらずこんな場を提供できてよかったです(笑)。

嶋崎さんの選書リストはこちら (Adobe PDF209KB)

外間さん 僕は、日高さんと話していて自分のコンセプトに気づいた感じなんですが、「ディストピアにつながる動き」「純粋な娯楽としてのSF」、で選びました。

中澤さん ちょっと待って、まずディストピアってなんですか?

外間さん ディストピアは、ユートピアの逆の世界。ユートピアはいわゆる理想郷で、もろもろすべて上手くいっている社会として想定されています。一方ディストピアは、一般的には管理社会、何らかの組織に全員が監視されている世界だったり、何かしら上手くいっていない社会のことだと僕はとらえています。

で、現代における「ディストピアにつながる動き」って何かと言うと、例えばインターネットによって莫大な恩恵はもたらされたけれど、一方でハッキングとかの弊害にもさらされているってことがありますよね。今ある便利な技術も、うかうかしているとディストピアにつながっちゃうよという、ちょっと暗い未来を示唆するような本をラインナップとして選んでみました。

例えば『ソーシャルエンジニアリング』、これはシステムの一番脆弱なところは人間で、人っていうのはシステムよりも簡単に騙せるから、そこを対策しなきゃいけないっていうことを書いた本ですね。あとは『ハッカーの学校』、最近ホワイトハッカーって言葉をよく聞くと思うんですけど、守るためにはまず攻撃手法を学ぶところから、ということで選びました。こういったことが、本当にそうなるかどうかはともかく、ディストピアにつながっちゃう可能性を持っているという、現実社会の話です。

一方で、これは純粋に楽しいSFなんですけど『星を守る者たち』は、太陽系に人類が進出していって人類の基地を作るために土建業界の人たちががんばるという話です。SFってわりと綺麗な面だけを描いているものがあるんですけど、これは意外と泥臭い。結局宇宙に行くような未来技術を描きながらも、それをしているのは人間だから、泥臭い方向に話は進むという。

こんな2つの未来の、さてどっちにいくのかな、と言うのをコンセプトに選んだ感じです。

司書 ディストピアの話を聞いて、最近、投資を機械がすべて行うというのがニュースになったのを思い出しましたよ。

日高さん ディストピアネタでは、最終的には全部機械がやってくれるから、結局人間はいらないじゃん、という結末にたどり着くのがよくありますよね。

外間さん そうそう、それもあって『テクノロジーが雇用の75%を奪う』っていうのも選んでみました。

窪田さん 現実に、便利になったイコール、人手がいらなくなったイコール、仕事がなくなったという部分はありますよね。

嶋崎さん 仕事の75%が機械に取って替わられた状態は人間にとって問題かもしれないけど、100%人が仕事をしなくなったらどうなるのか、気になりませんか?もしかして結構幸せかも。

中澤さん ロボットが口元まで食べ物運んでくれるとか(笑)。人間がすることは何もなくなるよね。そうなると人間が生きている意味は何だ?とか、ロボットが人類を滅ぼすというのが現実味を帯びてくるような。

外間さん そうそう、最終的には働かなくていい社会ってのは確実にくると思うんですよね。昔は水を汲みに行くのに数時間もかけてたけど、今は水道をひねれば水がでる。じゃあその空いた時間は何に替わったかというと、娯楽とかに替わったわけです。機械に75%の仕事を奪われた分、余った時間はどんどん生まれているんですよね。働くイコールお金ややりがいを得るという観点では、労働を機械に取って替わられることに抵抗を覚える人が多いと思うけど、機械の働きによって時間を得ると言う視点でいうと、幸せかどうかはともかく、本当にずっと先の世界では遊んで暮らせるようになるような気がします。

嶋崎さん 働くことが生きがいを生むという面もありますよね。それから、人の手によって生み出されるハンドメイドの製品は、機械では作ることができない。だからハンドメイドの仕事は今後も残っていくんじゃないか、ということがこの『はたらきたい。』と言う本に載っています(笑)。

司書 10年後に、またこのメンバーでディストピアについて話し合ったら、まったく違う話が出そうですね。

外間さん 確かに!そのころは管理する側とされる側に分かれていたりして。う~ん、皆さん仕事の選び方には十分気をつけないと(笑)。

中澤さん でも意外と社会って予想しているほうには行かないもんですよね。昔から将来的にはコンピュータが世界を支配するって言われてきたけど、現代はまだそんな社会にはなっていないわけだし。面白いからいろいろ想像するけど、実際にはそうならないってことも多いかな。

外間さん 昔の技術力で想像できる未来の限界と、今の技術力を元に想像できる未来は違うからね。一昔前、未来と言えば、コンピュータに支配されたり火星人が攻めてきたりって事を皆で空想したけれど、それについて現代では、空想ではなく科学的に考えられるようになっているわけで。想像する未来も時代によって変わっていきますよね

日高さん もしかして50年後にはまた、地球外生命体についてうんぬん議論しているかもしれない。

嶋崎さん 今から200年後の世界ってどうやって想像すればいいんでしょうね。100年後くらいならなんとなく想像できるような気がするけど。

合志さん う~ん、今は社会の変革が激しすぎて、50年後でも難しいかも。

(一同 深くうなずく)

嶋崎さん そうすると、想像力の限界ってどのくらいなんでしょうね。

外間さん 事象の変化のスピードがどんどん変わっているから、人間が追いついていかないですよね。だから僕はもう100年後が人間の想像力の限界って事でいいんじゃないかと思うんですよね。

100年前の新聞に、100年後の未来として国際電話や新幹線のことが書かれてるんですが、それがその当時の人々の身の回りから想像できる一番かっこいい未来だったのかなって思って。馬車が移動手段で、外国の事もよくわかっていないような時代にそういうことを想像できて、それらが今実現しているっていうことは、現代の僕らが想像している範囲のことは近い将来できちゃっているかもしれないって思いますよね。例えばワープとか。

日高さん 概念すらないものは想像できないですもんね。

中澤さん 電車がようやく走り出した時代では、将来時速100km、200kmの電車が走るようになったらすごいと皆が考えていた。つまり、ひとつの事柄の未来を速さという狭い範囲でしか想像できてなかったわけですよ。ところが今は、いろんな技術があって、技術と技術の組み合わせでどんな新しい何かができるようになるか、もはやわからないですよね。未来の予測っていうのが本当に難しい。

(一同 深い息をつく)

司書 ・・・だからSFが好きなんですかね。

外間さん そうですね。ちゃんと未来が描いてありますからね(笑)。

外間さんの選書リストはこちら (Adobe PDF241KB)

福島さん じゃぁ僕は・・・ディストピアからの新たな始まりという事で。

一同 おお~うまい!

福島さん (笑)大学生になって、時間もできたので今までやってこなかった新しい事をやってみたいなと思って、そのきっかけになるような本を選びました。

たとえば、芸術関係に興味があるので、音楽の入門書や水彩画や油絵の手始めに読めるようなものとか。あとは論理的思考の磨き方や会話術。大学に入って、いろんなものにチャレンジしたいなと思っていたので、その取っ掛かりになるような本が選べたと思います。

福島さんの選書リストはこちら (Adobe PDF229KB)

中澤さん 僕のコンセプトはそのまんまで、「興味のままに選びました」です。選んだ本だけを見たら、人は僕をどんな人間なんだと思うかもしれないけど、このラインナップについてはいっそ一日かけて語りたいくらいで(笑)。

というのもそもそも、関係性を縛るような言葉が嫌いなんですよ。今まで割りと人に縛られない環境で育ってきたのもあると思うんですけど、相手との関係性を言葉にしちゃうと距離が離れちゃう気がして、いやですね。親の事も名前に君付けで呼んでるくらいだし。相手を個人として見て付き合うほうが、より親密になれるし相手のことを理解する事ができる気がする。そう思っているところで最近、宇多田ヒカルっていう人は僕と近い人なんじゃないかと思って(笑)。彼女の本を読んだんですけど、僕が感じていた事をちゃんと言葉で表現できるのがすごいなと思って衝撃をうけました。

たとえば、今の日本では学歴とかどんな家に住んでいるとかで人をみる傾向があるけど、そうだからこうってその人を簡単に定義しちゃうと失われるものも多い気がするんですよ。言葉で決め付けちゃえば、いろんな事を考えなくてすむから楽だけど、そうする事で見えなくなっちゃうこともたくさんあるから。そうせずに物事を深く考えるっていうことは大変な作業なんだけど、それをする事で新しい物事が見えるからそうしてみて欲しいっていう。

合志さん なるほど、そう思っている人が選んだ本、ってことね。

日高さん もうちょっとまとめらんないか(笑)。例えば、POPに書いたのはどんな本?

中澤さん え~と、『イスラム国テロリストが国家を作る時』とか。イスラム国は、価値観が多様化する現代社会で、国家という枠組みの重要性が弱まっているということから発生しているという見方がある。何であんな恐ろしい集団に人が集まるのか、を考える事で、逆に今国家がどうなっているのかが見えてくると思うんですよね。

合志さん いろんな視点を勉強して、自分が迷っているのを消化していきたいって感じ?

中澤さん 養老孟司さんも迷え迷えと言ってました(笑)。そのとおり散々迷ってますから。でも、自分で迷いたいからいいんです。

司書 そんな風に考えるようになったのはいつごろから?

中澤さん 受験勉強をしている時に、到底上っ面の知識だけじゃ解けないような、英語とか現代文とかのものすごく難しい問題に出会って。そこで物事の本質まで掘り下げて深く考えようと思うようになりました。で、大学に入って時間ができていろんな本を読むようになって、また迷って(笑)。その結果、得られたものも多いですけど。今になっても、問題の冒頭で「第一人称の死は、生きている限り決して体験されることのない、未知のものである。」というふうに書かれていたのは鮮明に覚えています。

あとは、高校1,2年の頃に初めて引越しを体験したんですよ。生まれ育った場所を離れて、新しい土地に移るというのは衝撃的でした。テレビで東京っていう場所があるのは知っていたけれど、そこに住む人がいると言う事を感覚的に理解できるようになったんです。場所っていう概念が自分の中に植えつけられたんですよね。今まで住んでいた土地や新しく住むことになった東京を外から眺める、という感じ。

合志さん ああ、さっきのイスラム国の話みたいなね。逆から見てわかる事、ね。

窪田さん こうなったらぜひ、海外にも行ってみて。すごい感覚を得て、また中澤くんが大きく変わりそう。

中澤さんの選書リストはこちら (Adobe PDF240KB)

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1時間あまりの座談会でしたが、紙面の関係でごくごく一部しかリポートできないのが残念です。

この他、宇多田ヒカルのすごさ、生命倫理、昨今の世界情勢、日本の政治、家族との葛藤、アップル社のこと・・・等々ここでは載せきれない程の話題が飛び交いました。

参加者の皆さん、濃密で楽しい時間をありがとうございました。

選ばれた本は図書館本館 入口正面の展示棚にて絶賛展示中です!是非、図書館に来て実際にPOPを見ながら本を手に取ってみてください。新たな興味をかき立てられる1冊に出会えるかもしれません。
皆さんのご来館をお待ちしています!

~次回選書ツアーは今年11月頃開催予定です。どうぞご期待下さい~
 
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